2021 年 77 巻 1 号 p. 28-45
本研究では,災害対応工程管理システム(BOSS)を活用することで,BOSSの使用有無による対応行動の違いを明らかにするものである.避難所運営業務を対象として,COVID-19に対応した業務フローを構築したBOSSを使用するチームと従来の紙面の避難所運営マニュアルを使用するチームに分け,川崎市で実証実験を行なった.その結果,リーダーの指示の違いが各チームのメンバーの行動に影響を与えることが明らかになった.BOSSチームは,業務フローに従ってリーダーが指示を出すことで,各々の役割が明確となり効率よく業務の分担ができた.一方,マニュアルチームは,一つの業務をリーダーも含めて複数人で行なうことが多く,滞留時間の発生が目立つなど,BOSSチームとの違いが明らかになった.