2021 年 77 巻 1 号 p. 14-27
本稿は,交通施策の早急な展開が課題である大規模災害発生時にて,「交通サービス」に対する住民感情を交通施策の進展に応じて分析したものである.Twitterを対象に,平成30年7月豪雨災害により広域的に道路交通インフラが被災した広島県内の公共交通確保策に関するキーワードでツイートを抽出し,自然言語処理により定量的に感情を抽出することで災害時の交通施策に対するフィードバックを得ることを目的として分析した.具体的には,ツイートを形態素解析し,Plutchik(1980)が提唱した感情理論モデルに基づき感情極性値を付与し,フェーズ毎の感情極性値を算出・評価した.分析結果より,SNS上の情報は,災害による大規模交通障害に対する交通施策を講じる際の施策決定マネジメントにて,有益な参照情報となることが示された.