土木学会論文集F6(安全問題)
Online ISSN : 2185-6621
ISSN-L : 2185-6621
77 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
和文論文
  • 柴田 達哉, 伊藤 和也, 杉山 竜一
    2021 年 77 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     逆巻工法と鉄筋挿入工による斜面安定化を図る施工現場において,高精度傾斜計を用いて地山の変形挙動を観測した.さらに,施工中の斜面状況は,厚生労働省が発出した「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」にある調査・設計段階別点検表,日常点検表,変状時点検表,異常時対応シートで確認した.その結果,ガイドラインによる点検は安全対策として効果を発揮することを確認した.このガイドラインを用いた地質リスク抽出は,現場の安全管理だけではなく総合的なコスト・品質管理を行うことができることが分かった.これを実施するためには諸外国のように様々なリスクマネジメントについて,工事の上流側である発注者を含む調査・設計段階での斜面崩壊に対する意識を持ち,発注者,調査設計者,施工者間の情報共有が重要である.

  • 渡邊 芳樹, 神田 佑亮, 藤原 章正
    2021 年 77 巻 1 号 p. 14-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

     本稿は,交通施策の早急な展開が課題である大規模災害発生時にて,「交通サービス」に対する住民感情を交通施策の進展に応じて分析したものである.Twitterを対象に,平成30年7月豪雨災害により広域的に道路交通インフラが被災した広島県内の公共交通確保策に関するキーワードでツイートを抽出し,自然言語処理により定量的に感情を抽出することで災害時の交通施策に対するフィードバックを得ることを目的として分析した.具体的には,ツイートを形態素解析し,Plutchik(1980)が提唱した感情理論モデルに基づき感情極性値を付与し,フェーズ毎の感情極性値を算出・評価した.分析結果より,SNS上の情報は,災害による大規模交通障害に対する交通施策を講じる際の施策決定マネジメントにて,有益な参照情報となることが示された.

  • 安井 あり紗, 沼田 宗純
    2021 年 77 巻 1 号 p. 28-45
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,災害対応工程管理システム(BOSS)を活用することで,BOSSの使用有無による対応行動の違いを明らかにするものである.避難所運営業務を対象として,COVID-19に対応した業務フローを構築したBOSSを使用するチームと従来の紙面の避難所運営マニュアルを使用するチームに分け,川崎市で実証実験を行なった.その結果,リーダーの指示の違いが各チームのメンバーの行動に影響を与えることが明らかになった.BOSSチームは,業務フローに従ってリーダーが指示を出すことで,各々の役割が明確となり効率よく業務の分担ができた.一方,マニュアルチームは,一つの業務をリーダーも含めて複数人で行なうことが多く,滞留時間の発生が目立つなど,BOSSチームとの違いが明らかになった.

  • 沼田 宗純, 井上 雅志
    2021 年 77 巻 1 号 p. 46-59
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,山形県沖地震における災害対応の検証や防災計画の見直しにおける基礎材料とするために,鶴岡市職員に対して災害対応の業務内容と業務量を把握するための職員投入量調査を行った.また,本研究では,47種の災害対応業務を枠組みを用いており,この枠組みの検証も行った.その結果,被害情報の収集,道路復旧,廃棄物の処理等の業務に多くの職員が配置されている一方,被害が限定的であったこともあり,過去の災害と比べ,避難所や物資輸送への職員投入量は少なかったことが分かった.そして47種の災害対応業務の枠組みの検証結果,本地震での鶴岡市の対応に関しては,47種類の災害対応業務の枠組みで規定できることが分かった.

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