2013 年 69 巻 2 号 p. 105-120
山岳トンネルにおいて,供用開始後に路盤隆起が発生し対策工が必要となることがある.このような路盤隆起現象やその対策工の効果には建設時の工法や構造が少なからず影響することが予想されるが,このことについて数値解析的に検討した研究は見当たらない.そこで筆者らは,トンネルの建設から供用中に発生する路盤隆起,その対策工までを一貫して数値解析によりモデル化した.その結果,建設時のインバートの施工,早期閉合の実施が供用中の変状抑制にも効果的であることがわかった.また,供用中の路盤隆起対策工としての下向きロックボルトは付着切れやボルト材の降伏に注意しつつバランス良く仕様を向上させることで,ある程度長期的に効果を発揮することが可能であることを確認した.