2007 年 2007 巻 p. 20070011
本研究では離散要素法を完全にGPU上で実装できるアルゴリズムを開発した.離散要素法では粒子に働く力を,粒子間の接触力として計算する.この接触力を計算するために,粒子間の衝突を検出しなければならない.計算粒子数が多くなると衝突検出の計算コストは膨大なものになる.近年,GPUの計算性能の向上は著しい.もしGPUを離散要素法の計算に用いることができるならば,計算速度を向上させることができる可能性がある.しかし粒子間の衝突計算はGPUで計算するにはGPUの並列性が原因となり困難な問題であった.そこで本研究ではGPUで衝突計算を行なうことができる手法を開発した.バケットのデータ構造をGPUの深度テスト,ステンシルテスト,カラーマスクそしてバーテックステクスチャフェッチを用いた4パスのレンダリングで生成する.そしてこのバケットデータを用いて衝突計算を行なう.また本手法での計算速度を計測し,CPUでの実装での計算時間と比較した.比較により本手法は劇的に離散要素法の計算速度を向上させることができた.