抄録
多孔質体では,孔の体積率が同じであっても,孔の寸法·数量が異なれば単位体積当たりの表面積の割合が異なるので,例えば,熱の拡散とその変形問題では,多孔性の大小に伴って応答が異なるといった,一種の「寸法効果」が発現することが知られている.そこで本研究では,多孔質体ミクロスケールでの寸法と熱伝達を考慮した,均質化法に基づく熱·固体変形のマルチスケール·マルチフィジックス解析手法を開発し,単一スケールの直接解析との比較を通じて,多孔性の異なる多孔質体に対する解析精度や計算効率を検証する.まず,対象とする問題設定を述べた後,多孔質体ミクロスケールでの寸法と熱伝達を考慮した,均質化法に基づく熱·固体変形のマルチスケール·マルチフィジックス問題の定式化を示す.そして,微視的寸法(多孔性)の異なる多孔質体の非定常熱拡散·固体変形問題を対象に,単一スケールの直接解析との比較を通じて,均質化法に基づく本解析手法の解析精度や計算効率を検証し,妥当性·有効性について考察する.