抄録
強相関多体問題を計算する方法の1つに密度行列繰り込み群法(DMRG法)がある。この方法は本来1次元モデル用に開発された方法であったが、並列化することで準2次元モデル(梯子型モデル)用に拡張することに成功している。この並列化においてall-to-all通信を必要とする。all-to-all通信はすべてのプロセス間で通信を行うため、ネットワークの帯域に負担がかかる。そのため、最近主流になってきたマルチコアクラスタは、ネットワークの帯域に対するプロセス数が多いため、通信性能の低下が予測される。そのため、我々は、データ分割や通信パターンを考慮することで、全プロセスで通信を行わない通信方法を提案した。実際に、シングルコア計算機であるSGI Altix 3700 Bx2およびマルチコア計算機T2K Open Supercomputer (Todai Combined Cluster)において性能評価をおこなったところ、どちらの計算機でも新しい通信方法により通信性能は向上したが、マルチコアであるT2Kのほうがより高速化することが確認できた。