日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
損傷モデルの概念を導入したボクセルFEMによる物質拡散とひび割れ進展問題の連成解析
渡邊 茜浅井 光輝
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2013 年 2013 巻 p. 20130007

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抄録

コンクリート構造物の経年劣化の要因は, 中性化・アルカリシリカ反応(ASR)・塩害等のさまざまな現象が考えられる. その多くは力学的要因と化学的要因が複雑に連成しており, 劣化メカニズムを詳細に把握したうえで合理的な対策することは非常に困難である. コンクリート内部での物質の浸透・拡散現象は, 材料内部の膨張あるいは劣化の起点となり, 微視的な亀裂, 材料界面でのはく離等の損傷を招く. また逆に, 微視的な損傷を受けた領域は, 拡散現象において高速に物質が拡散する経路となり, 物質が局所的な領域に拡散しやすくなる. 以上のように, 拡散問題と力学の損傷問題は両者が双方向に連成する現象であり, 材料劣化の微視的なメカニズムを解明していくには, 連成現象までを再現可能なシミュレータが必要となる.
そこで本研究では, 3次元の非均質材料内に発生するクラックの進展をボクセルFEMで表現する方針とし, そこに損傷モデルの概念を導入することで, ひび割れ現象と物質の拡散現象の両者が, 微細なひび割れの発展とともに段階的に変化させ, 結果として両者の連成問題がより安定して解くことができるシミュレータを提案した.

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© 2013 The Japan Society For Computational Engineering and Science
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