抄録
本研究は固有振動数を観測データとして, 複数層に剛性低下を設定した3層フレームモデルの各層の水平剛性を同時に同定する逆問題解析を通して, 採用した可変的パラメトリック射影フィルタの特性と有効性を検討することが目的である. その際, 可変的パラメトリック射影フィルタによる結果は, 既存のKalmanフィルタによる結果と比較することにより, 計算に用いられた正則化パラメータの設定方法と繰り返し計算における初期値による影響の観点から考察を加える. なお, 観測データである固有振動数は実測による値を用いることにし, 中低層建築物の構造ヘルスモニタリングシステムの実用化を目標とした.