2019 年 2019 巻 p. 20190014
高精度自動車電着シミュレーションのための新しい電着数理モデルを提案する.従来のモデルとは対照的に,提案する電着数理モデルは自動車製造の実ライン電着条件を再現した新しい電着基礎実験に基づいて導出されている.新しい電着基礎実験ではカソードの表面電位時間履歴が実ラインのそれと同じになるように外部抵抗を導入している.提案する電着数理モデルは,塗膜の電気抵抗を決める塗膜抵抗モデルおよび塗膜の成長速度を決める塗膜成長モデルの2つのサブモデルから構成される.提案する塗膜抵抗モデルでは,膜厚依存性だけでなく塗料流速依存性を新たに考慮している.また,提案する塗膜成長モデルでは,塗膜析出前の塗料粒子の濃度拡散を新たに考慮している.妥当性確認のため,4枚ボックス試験を含む幾つかの有限要素解析を実施し,提案モデルによる解析結果が従来モデルのものよりも高精度であることを示す.