2020 年 2020 巻 p. 20200002
本論文では,摩擦接触を伴う破壊挙動を再現するための損傷モデルを示し,3次元の有限要素解析において提案モデルの解析精度および妥当性を検証する.提案モデルの特徴は,準脆性材料の破壊力学に基づいて破壊挙動を精度よく再現可能な損傷モデルに,クーロンの摩擦モデルに基づいて破壊面での摩擦接触のモデル化を導入したことである.第2節では,摩擦接触を伴う破壊挙動のモデル化に対して,3次元問題に対応した損傷モデルの新しい定式化を示す.第3節では提案モデルの検証例題を示す.まず構成モデルから出力される物質点の応答において,破壊面での摩擦接触が適切にモデル化されていることを示す.次に,単純な二相材料の圧縮問題において,要素タイプおよびメッシュサイズによる影響を検証した後,既存の実験結果との比較を行い,提案モデルの妥当性を検証する.第4節では,本論文で得られた成果をまとめ,今後の課題について述べる.