2020 年 2020 巻 p. 20200003
本研究では,モード分解の技術を適用した数値シミュレーションベースの津波リスク評価の新たな枠組みについて提案する.提案手法では,まず,不確実性を考慮したいくつかのシナリオで数値シミュレーションを行う.これらの数値シミュレーションから得られる結果に対し固有直交分解(POD)を適用することで,空間モードを抽出し,これらの空間モードの線形結合としてリスク指標の空間分布を示す代理モデルを構築する.この代理モデルを用いてモンテカルロシミュレーションを行うことで確率論に基づく津波のリスク評価を行う.本研究では,簡単な条件設定の下で数値シミュレーションを行い,建物に作用する津波の衝撃力のリスク評価に対して提案手法を適用した.その結果,提案した枠組みが効率的な津波のリスク評価を可能にし,災害のリスク評価について有用であることが示された.