2021 年 2021 巻 p. 20210008
本研究の目的は,結合力埋込型損傷構成則を非局所アプローチの枠組みで再定式化したうえで,き裂進展問題におけるメッシュ分割の方向依存性を回避するためにPetrov-Galerkin法を提案する.従来の局所理論に基づく結合力埋込型損傷構成則を非局所アプローチへ拡張するために,応力と結合力の釣り合い式の弱定式化を導入する.加えて,形状関数のC0連続性に起因するメッシュ分割の方向依存性を回避するために,応力と結合力の釣り合い式の重み関数に対してPetrov-Galerkin法を採用する.具体的には,有限要素間でのき裂面の連続性を考慮するために,重み関数を従来の試行関数の一階微分の関数から,見かけ上のひずみを差分近似した試行関数と同次の関数へとき裂進展に伴って変化させる.数値解析例として,1要素および多要素を用いた有限要素法による検証を通して,本提案手法の妥当性および特徴を示す.その後に,従来の局所理論に基づく結合力埋込型損傷構成則および本提案手法のメッシュ分割の方向依存性について検証を実施する.ただし,メッシュ分割の方向依存性の検証に際しては,有限要素法および基底関数の高次化が可能なIsogeometric解析を採用する.