2022 年 2022 巻 p. 20220011
数値シミュレーションの品質を保証する概念であるV&V(Verification and Validation:検証と妥当性確認)において,Verificationは,計算モデルが正しく実装されていることを検証するコード検証と,離散化誤差が十分に小さいことを検証する解析検証の2つで構成される.弾性問題では,はりの理論解を利用して,コード検証と解析検証を行った事例が複数報告されている.しかし,コンクリート構造物は,脆性材料であるコンクリートと延性材料である鉄筋の複合材料であり,その非線形問題には理論解および解析解が一般には存在しないため,既存の方法による検証は困難である.そこで本論文では,鉄筋コンクリートはりの3次元非線形有限要素解析に対して,コード検証と解析検証を行った一例を示す.具体的には,まず既往の研究で示された鉄筋コンクリートはりの参照解を利用し,非線形有限要素解析による参照解の再現性を定量的に示すことで,コード検証を実施する.次に,メッシュサイズを数値解析の因子として,分散分析を行い,メッシュサイズの因子効果を定量化することで,解析検証を行った例を示す.