日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
翼フラッター計算効率化のための高速行列解法の適用の研究
宮路 幸二竹川 大翔林 孝太
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2022 年 2022 巻 p. 20220010

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抄録

本研究では,流体−構造連成計算の高度化のために重要な要素技術の開発を行い,成果を検証した.いずれも複雑形状に対する高精度な解析を可能にするものであり,1つはハイブリッド非構造格子のロバストで高速な計算格子変形手法の開発,もう1つは多くの乱流モデルで必要とされる格子点と壁面の最短距離の効率的な計算手法の開発である.前者のために CFD 計算領域を弾性体とみなして実際の弾性力学の方程式を適用し,後者のために Poisson 方程式と補助方程式を利用した.いずれも大規模不規則疎行列からなる連立一次方程式に帰着し,その高速解法に,GMRES と RCM を用いて,性能を比較した.計算格子の種類によって効果は異なるものの,古典的な Gauss-Seidel 法と比較して,最低でも 4 倍の高速化が実現された.本手法の壁面距離の誤差は,曲率の大きな箇所を除いて 5%以内であり,流れの剥離の小さな NASA CRM 巡航条件では,解析結果に及ぼす影響は小さい.更に,開発した手法を用いて遷音速,超音速流れの翼のフラッター解析を行い,フラッター境界を良好に予測した.

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© 2022 The Japan Society For Computational Engineering and Science
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