2024 年 2024 巻 p. 20240010
鉄筋コンクリート構造物を対象としたV&Vに関する既往の研究の多くは,検証または妥当性確認のどちらかを対象とした事例が多く,両方を対象とした研究はほとんど行われていない.本論文では,建設工学分野の数値解析にV&Vを応用するための基礎的検討として,鉄筋コンクリートはりの非線形有限要素解析を対象に,ASME V&V 10に基づく検証と妥当性確認を具体的に行った例を示す.解析・実験対象は,せん断補強筋を有する曲げ破壊型の鉄筋コンクリートはりの4点曲げ問題とする.計算モデルには,損傷モデルを用いた非線形有限要素解析コードを用いる.検証においては,Euler-Bernoulliのはり理論に基づいて導出された鉄筋コンクリートはりの1次元モデルから得られる結果を参照解とし,コード検証および解析検証を実施する.計算モデルに含まれる材料パラメータの感度を定量化したのち,実験に含まれる不確かさに着目して実施されたValidation実験の結果と,材料特性のばらつきを反映した数値解析の結果から,正確度を定量的に評価することによって,計算モデルの妥当性確認を行う.