日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
2024 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 平山 大悟, 韓 霽珂, 森口 周二, 寺田 賢二郎
    2024 年 2024 巻 p. 20240001
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,準静的問題を対象とした拡散き裂の離散き裂移行手法を,有限変形の枠組みで動的破壊問題へと拡張することで,応力波が構造物の内部で伝播し,き裂発生・進展・分岐および部材の分離とその後の運動までを包括的に追跡可能な計算手法を提案する.まず,エネルギーと物体力による外力仕事からなる汎関数から,変位場と損傷場の支配方程式を導出する.次に,対応する弱形式化に対して有限被覆法により空間離散化を行い,Newmarkβ法により時間離散化を行なった上で,拡散き裂から離散き裂に推移するアルゴリズムを実装する.最後に,き裂進展問題や部材の分離を含む動的破壊問題についていくつかの数値計算例を示し,本手法の性能を検証する.

  • 山田 貴博
    2024 年 2024 巻 p. 20240002
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

    本研究では、有限要素法の弾性体の自由振動の固有値解析における数値的特性を評価する.直方体領域と円筒領域に対して厳密解を陽に記述可能な問題を提示し,厳密解と数値計算結果を比較することで,これまで明らかとなっていない3次元問題における有限要素法の近似特性を示した.特に,厳密解をP波とS波の定在波として表すことで,変形モードと近似特性の関係を検討した.

  • 荻野 正雄
    2024 年 2024 巻 p. 20240003
    発行日: 2024/02/22
    公開日: 2024/02/22
    ジャーナル フリー

    This research focuses on Physics-Informed Neural Network (PINN), which is a neural network that approximates the solution function of the initial-boundary value problem of partial differential equations. In particular, numerical experiments are conducted to evaluate the effect of point set features on the computational accuracy of predictive models by PINN. As point sets, in addition to general pseudo-random number sequences, low-discrepancy sequences such as Halton sequences and Sobol sequences, which have been shown to be useful in quasi-Monte Carlo methods, are also used. Furthermore, this research proposes the use of a finite element mesh smoothed by centroidal Voronoi tessellation as a technique to make it easier to apply PINN to regions with arbitrary boundary shapes.

  • 松倉 敏寛
    2024 年 2024 巻 p. 20240004
    発行日: 2024/02/27
    公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

    コンクリートは非均質であるため,直接引張試験時に曲げモーメントやせん断ひずみが発生し,応力ひずみ曲線の推定精度が悪くなる.そこで弾塑性有限要素法で引張試験をモデル化し,試験時の観測データに解析変数を同化させることで,供試体位置ごとに個別に応力ひずみ曲線を推定する手法を開発した.非線形問題のデータ同化において感度算定時に,計算負荷が高くなる.そこで有限要素法の計算グラフを時間と空間方向に分けて各方向を独立させて交互に感度算定することで計算負荷を軽減した.更に複雑解空間でも安定して探索可能な解更新手法を開発し,観測データに適合する解析変数と応力ひずみ曲線を推定した.

  • 羅 家驊, 井口 拓哉, 福田 達也, 山川 優樹
    2024 年 2024 巻 p. 20240005
    発行日: 2024/04/03
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー

    拡張下負荷面モデルは繰返し負荷を受ける材料の塑性挙動を精緻に表現できる非古典塑性理論に基づく弾塑性モデルである.古典塑性理論では,降伏面の内部領域を純粋弾性域と仮定している.これに対し,拡張下負荷面モデルでは降伏面の内部に現応力に追従する下負荷面を導入することにより,降伏面の内部でも塑性ひずみの発生を表現できるモデルとなっている.このモデルでは,降伏状態からの除荷過程では下負荷面が縮小して最終的に点に縮退し,その後,逆負荷や再負荷に伴って下負荷面が拡大する.従来の負荷判定法は弾性除荷から塑性負荷の過程における上記の挙動を正確に追跡できないため,応力計算の精度が低下する問題点が指摘されていた.これに対し本研究では,新たな応力更新アルゴリズムを用いた改良負荷判定法を提案する.この提案手法について,比例及び非比例的な負荷経路を含む繰返し変形下での解析を行い,大きなひずみ増分を与えた解析でも高い精度で応力を計算できることを検証した.

  • Katleya MEDRANO, Tatsurou YASHIKI, Mutsuki KOGA, Naoki HOSODA, Yohei Y ...
    2024 年 2024 巻 p. 20240006
    発行日: 2024/04/03
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー

    This study proposes a preprocessing method to address poor data integrity and excessive pipe parts information in industrial-scale CAD used for automatic model generation. Pipe connection relationships are first classified to strategically implement reconstruction steps based on a geometric approach. Critical pipe parts for simulation are then identified to reduce the final model size. Validation using actual plant CAD data revealed that the proposed method configured pipe connections although 25.5% of the data had integrity issues. The method also generated a model specification with 66% node reduction compared to unprocessed CAD. Furthermore, the thermohydraulic model built upon the simplified model specification achieved ninefold faster computational speed without compromising simulation accuracy. Additional tests showed that the model simulated actual plant operation with a maximum error of only 1.2%, demonstrating the effectiveness of the proposed method in building accurate models that enable plant digital twins.

  • 村岡 元気, 豊吉 巧也, 泰地 隆平, 和田 義孝
    2024 年 2024 巻 p. 20240007
    発行日: 2024/05/24
    公開日: 2024/05/24
    ジャーナル フリー

    本論文では、物理量を考慮した機械学習による複数のき裂進展予測の精度向上について述べる。データセットは、s-FEMと自動メッシュ生成技術を組み合わせたき裂伝播解析結果から得られる。入力パラメータは4つのき裂先端の座標である。予測される出力値は、き裂進展ベクトルと0.25mmのき裂進展サイクル数である。き裂の伝播経路と伝播速度は0.07%以内で予測された。これは、異なる物理量間の悪影響を避けるために、独立した多層パーセプトロンを構成したことが理由である。さらに、正則化としてデータ増強技術を適用することで、誤差の低減を試みた。汎化性能を検証するために、隠れ層のアクティベーションの分布を観察した。その結果、適切な入出力パラメータと適切な学習データセットの設定により、小さなデータセットでも高い精度で予測できることが示された。

  • 難波 宗功, 中川 貴文, 角 有司, 五十田 博, 瀧野 敦夫
    2024 年 2024 巻 p. 20240008
    発行日: 2024/07/25
    公開日: 2024/07/25
    ジャーナル フリー

    木造構造物の耐震性能を正確に推定し、ヘルスモニタリングを行うためには,解析モデルにおけるパラメータを同定することが重要である。本研究では、品質工学と解釈可能機械学習「SHAP」を用いたパラメータ同定手法を提案した。品質工学における直交表を用いることで網羅的かつ効率的な探索を行い,解釈可能なAIによりパラメータ探索範囲を絞り、効率的なパラメータ同定を試みた。本研究では,3階建て木造住宅の実大振動台実験で得られた変位応答データを対象として,提案手法の検証を行った。データ同化後の解析結果と実験結果の差は小さく、その有効性が示された。

  • 荻野 正雄
    2024 年 2024 巻 p. 20240009
    発行日: 2024/08/23
    公開日: 2024/08/23
    ジャーナル フリー

    PINNは偏微分方程式の初期境界値問題の誤差を損失関数に組み込んでニューラルネットワークを学習させる手法であり,多くの研究が報告されている.PINNによる予測解の精度を向上させるためには,学習データセットのサイズを大きくし,さらに非一様度の低い分布を持つ学習データを用いることが望ましい.しかし,大規模な学習データを並列処理する場合,分布の特徴を維持したまま点集合を分割することは困難である.そこで本論文では,有限要素法の並列数値計算法として知られているNon-overlapping型領域分割法に着目する.特に,古典的なDirichlet-Neumann, Neumann-Neumann, Dirichlet-Dirichletアルゴリズムに加え,偏微分方程式として記述した共役勾配法に基づくDDMアルゴリズムを導出し,PINNを適用した.さらに,提案手法を2次元静磁場問題に適用し,数値実験結果により有用性を示した.

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