2013 年 13 巻 p. 35-45
児童養護施設で暮らす子どもたちへのライフストーリーワーク(以下,LSW)は,近年,わが国でも関心が示されるようになり,必要性は認められているものの,取り組みがなかなか進展しないのが実情である。本研究では,児童養護施設入所児童へのLSWを推進していくために,LSW実践を支える要素を明らかにすることを目的とする。研究方法は,全国の児童養護施設および児童相談所の職員を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。その結果,LSWの実施には,理想として「子どもが過去と向き合う機会」を提供することが必要と考えられ,現状として「実施者の力量とそれを支える環境」と「実施体制の整備」が影響していることが示された。また,LSWを実施していくことが,「子どもや援助者にもたらす変化・効果」に影響を及ぼすことも示唆された。