2022 年 22 巻 p. 1-16
本研究は,利用者支援事業のためのニーズアセスメントシートの効果的な活用の推進について探索的に検討するものである.それに際しては,シートを採用している基礎自治体の利用者支援専門員を対象にグループインタビュー調査を行い,質的データ分析法によって分析を行った.その結果,シートの活用を難しくしている要因として,①ニーズアセスメントシートに関する要因,②現場のニーズアセスメントに関する5つの「わからない」に応える「実践モデルの記述に含まれる5つの基本的要素」に対応する要因,③ニーズアセスメントのための環境に関する要因が抽出された.とりわけ②現場の5つの「わからない」は,実践モデルの記述に含まれる5つの基本的要素である①実践対象の記述,②実践意義の記述,③援助手続きの記述,④依拠理論の記述,⑤援助効果の記述の情報の欠如と対応しており,その改善のためには,実践モデルと実践マニュアルが欠かせないことが示唆された.