2022 年 22 巻 p. 83-94
本研究は,家庭養護ではあるが,第2種社会福祉事業として施設的な側面も持つファミリーホーム(以下,FH)において,FHの養育者が持つ養育・制度の意義と課題について明らかにすることを目的とした.調査はスノーボールサンプリング方式を用い,13ホーム計15名の養育者に対して半構造化インタビューを実施し,質的データ分析法をもとに分析した.その結果,以下の4点が明らかになった.①施設職員経験者と里親養育経験者でFHの意義を感じる点が異なる,②親族補助者と外部補助者それぞれの強みや課題がある,③FHに対する支援については,児童相談所等の支援を行う側の認識により,FHの養育者が求める支援内容と乖離が生じる,④多人数養育や生活基盤の共有は,意義にも課題にもなる.そのため,ホームの実情に応じたマッチングや支援を行う必要がある.本研究で明らかにしたことは,今後FHを開設する場合の情報提供や,各FHの実情に合わせた支援内容を検討する際の知見となる.