抄録
本研究は、子どもが入院する病棟で働く保育士が専門性を発揮することができないと感じる背景を明らかにすることを目的に行われた。対象は関東地方の総合病院で、子どもが入院する病棟に配属されている保育士7名であり、半構成的インタビューを用いてデータ収集し、その内容を質的に分析した。その結果、保育士は〔ベビーシッターや「お預かり係」として見られている〕、〔看護師長からの一言で決まる保育士の業務〕、〔遊びの捉え方の違いを理解してもらえない〕、〔「子どものペースに合わせて待つ」ことが受け入れられない〕、〔安静度等について、なぜ、どの位必要なのかという情報が伝えられない〕、〔治療および病気の見通しが分からない〕という6つのカテゴリーが抽出された。保育士は看護師に保育士の専門性を理解してもらえていないこと、看護師から情報を伝えられているが、特定の情報が不足しているために専門性が発揮できないでいることが明らかになった。