抄録
親が子どもを洞察することは、子どもと親自身の精神的安定に関与する。本研究は、親子関係に悩みが多いとされる発達支援を受けている子どもの親が、子どもを洞察するプロセスを明らかにする。さらに、親の内省機能がプロセスに及ぼす影響について検討する。研究方法は、5名の親への半構成的面接後、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)で分析を行った。その結果6つのカテゴリーと19の概念が抽出された。【子どもの行動の意味理解】を親の立場から捉えたとしても、【自己の感情や考えに向き合う】内省を経ることによって、洞察ができていた。【障害受容への道程】【将来の見通しに対する気持ちと行動】は、親の内省機能の促進に関与していた。内省が洞察に至る間には【被養育体験との向き合い】や【支えられている体験の自覚】による影響があった。本研究では、子どもの特徴の理解、および感情を表現できる支援者の存在の重要性も示唆された。