抄録
本研究は、途上国での小児用ワクチンの普及と接種率向上のため、途上国の人々が小児用ワクチンに対し、どのような意識を持っているか調査することを目的とした。カンボジアX市で小児期WHO推奨ワクチン10種類に関する意識調査を行った。対象は、5歳未満の子どもを持つ、一般の保護者と小児医療に従事する職員で、方法は、質問紙および聞き取り調査を行った。その結果、ワクチンではBCG・ポリオ・DPT・麻疹・B型肝炎の認知度は高く、Hib・風疹・小児用肺炎球菌・ロタウイルス・HPVの認知度は低くかった。A病院職員と一般の保護者の間ではDPT・風疹・Hib・小児用肺炎球菌・ロタウイルス・HPVで有意差を認めた。接種率はBCG・B型肝炎・ポリオ・DPT・麻疹ワクチンが高く、風疹・小児用肺炎球菌・ロタウイルスは低く有料だった。接種率向上には疾患やワクチンの正しい知識を得、必要性を認識する必要があり、識字率が低い地域ではキャンペーンも有効で文字以外での啓蒙活動が必要と考えられた。