日本小児看護学会誌
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第2子出産のために母子分離となった白血病幼児の母親の体験
下辻 聖子川上 あずさ中森 千賀平島 規子
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2016 年 25 巻 1 号 p. 67-73

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抄録
本研究は、第1子のALL治療中に第2子出産のために母子分離となった母親の語りから、母親の苦悩や困難および喜びの体験の意味を明らかにし、支援方法の示唆を得ることを目的とした。研究方法は、母子分離を体験した母親1名の語りをデータとする質的帰納的分析である。結果、母親は児の骨髄移植までは期待や目標をもち、前向きに進もうとしたが、骨髄移植治療の副作用による病状悪化のなかで、第2子出産が迫り、無気力で孤独に陥った。その後、第1子の病状回復とともに自身の体調も回復し、劇的な心境の変化を体験した。そして、子どもの成長に期待を抱くことができるようになったという経過を辿った。子どもの病状の変化は、母親の感情や体調をも左右することにつながる。母子分離により母親の役割を果たせない悲嘆を認識した上で、母親の体調や心理状況を把握し、必要時家族の協力を得ながら、継続的に支援する必要があると示唆された。
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© 2016 一般社団法人 日本小児看護学会
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