2016 年 25 巻 2 号 p. 16-23
本研究は、SGA (small-for-gestational age : 以下、SGA) 性低身長症児をもつ母親の成長ホルモン療法 (以下、GH療法) に伴う体験を明らかにし、治療開始から治療継続時における支援を検討することを目的とした。外来を定期受診しているGH療法中のSGA性低身長症児をもつ母親4名に半構成的面接を行い、質的帰納的に分析を行った。分析の結果、SGA性低身長症児をもつ母親のGH療法に伴う体験として、【子どもが低身長であることへの絶え間ない自責と願い】、【GH療法に奮闘】、【治療に対するサポートのなさ】、【治療に見出す希望】、【尽きない心配】の5カテゴリーが抽出された。SGA性低身長症児の母親は子どもに対して絶え間ない自責があり、それゆえ子どもの成長への願いは強く治療を継続していることが特徴であり、医療者からは十分なサポートを受けていない現状が明らかとなった。また家族同士のネットワーク作りや治療時期ごとのサポート体制の確立の必要性が示唆された。