本研究の目的は、子どもが乳幼児期に長期入院した経験をもつ親が、どのように子どもと共に過ごす体験をしてきたか、親自身の語りから明らかにすることである。11名の親に半構成的面接を実施し、質的帰納的分析を行った。その結果、【受け止められず、気持ちがついていかない】、【周りと閉ざされていると苦しい】、【いろんなことが限られて、この子のことは思うようにならない】、【親として精一杯頑張らないではいられない】、【ただこの子と一緒にいたい】、【この子が苦しいと胸が締め付けられ、この子が楽だと嬉しい】、【この子と触れ合いながら、2人でちょっとずつ成長してきた】、【寄り添う心や愛をもって、生まれてきたこの子を大事にしてほしい】などの12カテゴリーが抽出された。子どもに向かう親の思いや望みが、医療の中で遂げづらいことがあり、長く医療が必要な中で、さまざまな状況や周りの人との関わりを通して、親が子どもと共に積み重ねている体験に着目する重要性が示唆された。