2018 年 27 巻 p. 140-148
本研究の目的は、学童・思春期に発症した炎症性腸疾患を抱える子どもの親の体験を明らかにすることである。炎症性腸疾患を抱える子どもの親6名に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。親の体験として【子どもがこれからどうなるのだろうかと、いろいろ考えて不安に思う】、【子どものために、病気と向き合い取り組む】、【食事や生活に制限がある子どもがかわいそうに感じ、申し訳なく思う】、【子どもの思いや考えは、本人でないとわからない】、【子どもの言動や様子から、本人の心情や意向を感じる】などの13のカテゴリーが抽出された。親は、子どもの言動から思いや考えに気付き、子どもを主体として認めかかわる一方で、親自身もさまざまな気持ちを抱く主体としてある体験をしていたことが明らかになり、親をひとりの人として尊重し、自然な感覚を共有できるようにあることが、看護において重要と示唆された。