2020 年 29 巻 p. 17-25
本論文の目的は高校生へ向けていのちの授業を実施し、授業デザインと生徒の学びを考察することであった。A高等学校の選択科目の一コマで実施した。参加生徒は28名。こうのとりのゆりかごを題材にし、アクティブラーニングを用いて展開した。授業におけるファシリテーションの実際を提示し、発問を通した著者らと生徒との相互作用について振り返った。その結果、今回の授業展開はアクティブラーニングに期待される生徒の能動的学習を具現化する効果があると推察された。また、生徒はこうのとりのゆりかごに預けられる子ども、預ける親、その社会的背景について多面的に考え、設置について賛否両論があることや自分とは違う考えがある多様さを取り入れ思考していることから、授業は自らの考えを広げ深める学びをもたらす効果があると推察された。そして、このような学びは対話的な学びが促進された成果ではないかと考察された。