2020 年 29 巻 p. 26-33
思春期の脳性麻痺の子どもは、成長によって身体変形などの二次障害を併発して身体機能は低下していくため、看護師は介助のタイミングを見極めることに難しさを感じていた。そこで、Leiningerの民族看護学を用いて、医療型障害児入所施設の長期生活病棟で生活している思春期の脳性麻痺の子どもの日常生活動作において、看護師がどのようにかかわっているのかを明らかにした。その結果、四つのテーマと一つの大テーマが抽出された。看護師は子どもが今までの成長過程において獲得してきた動作を少しでも長く維持し、子どもの自尊心を守るために、その子どもが 「本当はできる動作」 であっても、タイミングを見極めて介助を行っていた。また、子どもが沈黙した時には 「言葉で伝えるための時間」 を作っていた。これは、麻痺の身体で思うように動くことができない世界で生きている思春期の脳性麻痺の子どもに対する看護の独自性であると考えられた。