日本小児看護学会誌
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研究
医療的ケア児の社会生活を支える親のエンパワーメントの過程
佐鹿 孝子久保 恭子川合 美奈藤沼 小智子坂口 由紀子宍戸 路佳
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2020 年 29 巻 p. 175-183

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抄録

 目的 : 医療的ケア児の親が児の社会生活を支えエンパワーメントしていく過程の解明。

 対象と方法 : 医療的ケア児の母親10名。質的研究。

 結果と考察 : 11カテゴリーを抽出。在宅生活への初期では【退院と在宅生活へ向けた準備と覚悟】と【制度の限界の認識と柔軟な利用への希望】があった。【専門職による親ときょうだい児への気配りと支え】を受け、【ピアとしての連携と力の発揮】で子育てし、【子どもの発達を促す教育と環境の模索】をしていた。【親の育児力と社会参加の葛藤】では人生の見直しなどの葛藤に陥るが、【極限状態からの地域社会へのつながり】を保ち、社会参加と育児力を通して親の自信となった。これらの相互作用と【最後の砦のある安心】の中で、【社会資源の活用とコーディネート】と【親の役割と家庭生活の充実】につながり、親のエンパワーメントが徐々に高まったが、【親としての願いと行動力】はこの過程のコア・カテゴリーであった。

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© 2020 一般社団法人 日本小児看護学会
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