日本小児看護学会誌
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研究
気管切開を受けた子どもと母親のコミュニケーションの様相
日下部 修也井上 玲子
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2021 年 30 巻 p. 148-155

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抄録

 本研究は、気管切開を受けた子どもと母親のコミュニケーションの様相を明らかにすることを目的とした。学童期以前に気管切開し、データ収集時点で18歳以下の子どもの実母9名に半構造化面接でデータ収集し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析を行った。その結果12個の概念と5個のカテゴリーが抽出された。母親らは子どもが表すすべてを【聴こえるあの子なりの声】ととらえていた。気管切開後、母親らは『言いたいことをしゃべろうとする子どもへ語りかけ表情からくみ取 (った)』るよう工夫し、『子どもが努力して発した音に意味のある声を重ね始め (る)』ていた。母親らは【子どもがおなかの中にいたからわかる感覚】とその音に感じ揺らぎながら、前進していた。看護師は、気管切開後も母子が互いを再認識できるよう、子どもの表す音や仕草一つひとつに母親が意味付けを行えるよう密にかかわり支援することの重要性が示唆された。

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© 2021 一般社団法人 日本小児看護学会
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