2021 年 30 巻 p. 156-165
先天性心疾患をもつ学童期までの子どもに対する病気説明における母親の情報認識プロセスを明らかにし、医療従事者が行う支援の針路を見出すことを目的とし、疾患をもつ8歳~12歳の子どもの母親6名に半構成的面接を行った。分析にはSCATの手法を用いた。結果として、母親の 「理解不十分」 を 「説明実施可能」 とするために必要な 「必要性の認識」、「理解の向上」、「手段の試行錯誤的確立」 の3プロセスを補うことが支援の針路となることが明らかとなった。考察として、「必要性の認識」 にはおのおのの母子が重要と考える情報に配慮しながら必要性の判断に医療従事者の視点を加えていくこと、「理解の向上」 には 「必要性の認識」 との両立を意識しながら説明が必要とされる時に子どもへ情報を随時伝えられるようにしておくこと、「手段の試行錯誤的確立」 には接触の機会が限定的であっても、母子の対話状況に注目して個別性に応じた媒体提供を行うことが求められる。