本研究の目的は、NICUに入院経験のある医療的ケア児を育てる母親が退院を意思決定した要因を明らかにすることである。NICUなどを退院後、外来通院をしている医療的ケア児を育てる母親6名を対象に半構成的面接を実施し、質的統合法(KJ法)を用いて分析を行った結果、6つの要因が明らかになった。母親は、【対処を模索 : 生命の危機感がもたらす不安への対処を模索】と【責任の移譲 : 背負いきれない子どもの命と家族の生活の間で悩み夫の意見に移譲】の相反する2つのことを実施しながら、その後、変化し、【向き合う覚悟 : 生命の尊さを感じ子どもと向き合う覚悟】をしていた。そして、【情報の獲得 : 子どもと生活していくための安心できる情報の獲得】を通して、【家族の喜び : 子どもと過ごす時間がもたらす家族の喜び】を感じ、【生活の再構築 : 在宅移行体制の構築】する構造が常に循環し、退院に対する意思決定へと至っていた。