本研究の目的は、腰椎穿刺による髄腔内注射(IT)や骨髄穿刺(BMA)を繰り返し受けた小児がんの学童の対処行動の変化を明らかにし、治療状況や検査前後の様子から対処行動の変化に影響を与える要因を検討することである。学童と保護者3組を対象に、IT・BMAの参加観察と聞き取り調査を縦断的に行った。分析は、対処行動に関するデータを抽出し、事例ごとに対処行動の変化とその要因を検討した。その結果、学童は、繰り返し受けることで検査に対する質問や要望を表現しており、質問や要望に医療従事者が対応し、疑問が解決したり要望が叶うと検査に対する理解をさらに深め主体的な対処行動に変化していた。急な検査の告知や検査開始の遅延、体調の悪化、前回の検査での苦痛を伴う体験は、否定的な対処行動につながっていた。以上より、学童の質問や要望を引き出し表現を手助けするかかわり、表現された質問や要望に可能な限り応えるかかわりが必要である。