日本小児看護学会誌
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研究
子どもをもつ小児がん経験者が妊孕性低下リスクへ抱いた思い
井倉 千佳宮﨑 つた子
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2024 年 33 巻 p. 211-220

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抄録

 子どもをもつ小児がん経験者(以下、CCS)が妊孕性低下リスクへ抱いた思いを明らかにすることを目的に、CCS 10名に半構成的面接を行い質的帰納的に分析し9カテゴリーが生成された。妊孕性低下リスクに【強い衝撃と波及する事柄への苦悩】を抱える者もいれば【認識した時はそこまで気にならない】者もいた。生活状況や発達段階に影響を受け妊孕性低下リスクが切実なことになると【自分事になることで生じる不安】、【直面する妊孕性低下の重みや葛藤】、【告知時期・方法による疑心と反抗心】が生じていた。その際【専門性の高い情報や支援の希求】が生じるが【環境や相手への隔たりから相談を諦める】ことがあった。これらの思いを支えたのは【闘病経験や支えてくれる存在による安心と自信】、【小児がん経験・妊孕性低下リスクがある自分と向き合い人生や命を考える】思いであった。闘病経験の意味付けや支えてくれる存在を意識した支援が必要である。

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