2024 年 33 巻 p. 239-247
本研究の目的は、小児がんを発症した子どもの親がとらえる家族の体験について、夫婦や親子、きょうだいのサブシステムとそれらの関係性や家族の全体性に注目して明らかにし、家族全体を支える看護について考察することである。小児がんを発症した子どもの母親5名、父親1名を対象に半構成面接を行い、質的帰納的分析を行った。結果、11カテゴリーを抽出した。親は小児がんを発症したことで不安を感じながらも、子どもを守りたいという体験の中で、夫婦は子どもを中心に互いの反応を受けとめ病気と向き合い、子どもを通して「間主観的に親と子ども、夫と妻、小児がんの子どもときょうだいがわかる」ことが推察された。きょうだいは互いに結束していく感覚があった。絆が深まり家族がより一体と感じることに加えて、家族の関係性が維持できていた。親子、夫婦、きょうだいのサブシステムの視点から、家族が家族のままでいられる感覚を支える重要性が示唆された。