日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:自己抗体の産生機序とその病原性
好中球自己抗体MPO-ANCAの病原性と血管炎の病態
鈴木 和男
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2006 年 29 巻 2 号 p. 94-101

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抄録
  好中球ライソゾーム殺菌酵素Myeloperpxidase (MPO)は,自己抗体MPO-ANCAの抗原となり,血管炎の発症に関与している.その抗原性は,MPO欠損マウスにより明らかにした.また,MPO-ANCAのエピトープの解析から,MPOのH鎖のNおよびC末端に反応するエピトープが,血管炎の重症化と関連していることが判明した.MPOは,本来,好中球に存在する強力な殺菌物質OCLを産生する酵素で,欠損マウスの解析からCandida alibcansなど抗真菌作用として働き,殺細菌・殺真菌の生体防御に関与することを明らかにした.ところで,治療法開発や発症機構解明に,病態モデルが必須であり,MPO-ANCAを産生する急性進行性腎炎である自然発症病態モデルSCG/Kjマウスを用い,好中球の活性化が血管炎発症に関わっていることを明らかにした.また,C. albicansの膜成分(CADS)やwater soluble glycoprotein (CAWS)によって誘導するMPO-ANCA関連の冠状動脈炎マウスを用いて,その病態を解析した.
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© 2006 日本臨床免疫学会
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