抄録
RP105(CD180)はTLR(toll-like receptor)関連分子であるが,SLEにおいてRP105を欠損するB細胞(RP105(−)B細胞)が出現し,自己抗体を産生する.したがって,同細胞は,SLE治療の有力な標的となりうると考えられる.そのために,同細胞に特異的に発現する抗原の網羅的検索をDNAマイクロアレイ法とフローサイトメトリーで行った.マイクロアレイの結果,BCMA(B-cell maturation antigen)の発現が特異的に高いことが示唆された.FACS解析ではP105(−)B細胞はBCMAの発現が増強し,BAFF-R(B cell-activating factor belonging to the TNF family)の発現が低下していた.また,RP105(−)B細胞は高度に分化した後期B細胞のフェノタイプを示していた.同細胞はさらにサブセット1から5までの5つの新たなヒトB細胞サブセットに分類できた.活動性SLE患者では活性化B細胞(サブセット1)と早期形質芽細胞(サブセット3)が有意に増加していた.とりわけ,サブセット3は治療標的として有用である可能性がある.BCMAとそのリガンドを介したRP105(−)B細胞の生存維持と分化亢進がSLEの免疫異常や病態形成に影響を与えていると考えられ,BCMAを標的とした治療がSLEで有用である可能性が示唆される.