日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P9-16  SAPHO症候群にIgG4関連疾患を合併した1例
宮崎 佑介
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2013 年 36 巻 5 号 p. 424b

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抄録
 症例は63歳女性.2012年11月に腰背部痛を自覚し,近医整形外科を受診.MRIにて胸椎Th9~Th11周囲の軟部腫瘤を認めた.PETにて腫瘤への集積を認めるとともに多椎体炎,仙腸関節炎を認め,診断確定目的に3月当科紹介入院となった.レントゲンにてbamboo spine形成,仙腸関節の骨硬化像,PETにて多椎体炎,仙腸関節炎,脊椎骨強直を認め,強直性脊椎炎(AS)と診断した.同時にIgG4 235 mg/dlを認め,IgG4関連疾患(RD)による炎症性偽腫瘍が疑われた.傍胸椎腫瘤に対する胸腔鏡下肺生検にてIgG4/IgG比50%以上のIgG4陽性形質細胞浸潤を認め,IgG4RDと診断した.その後,掌蹠膿疱症を発症し,SAPHO症候群およびIgG4-RDと診断した.腫瘤は増大傾向となり,2013年7月,SAPHO症候群,AS,IgG4RDに対しメトトレキサートおよびインフリキシマブを導入した.IgG4RDにおいては肺内の炎症性偽腫瘍や後腹膜線維症が一般的で,傍胸椎腫瘍は稀である.また,SAPHO症候群や強直性脊椎炎にIgG4関連疾患が合併した報告はない.さらに,IgG4関連疾患に対するTNF阻害剤の効果は未知で,IgG4関連疾患の病態,治療法を考察する上で啓蒙的な症例と考えられる.その後の治療経過を含め報告する.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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