抄録
【目的】自己免疫疾患の病態における制御性B細胞(Breg)の役割が着目されている.我々は,SLE患者でTLR9 ligand(CpG)刺激によるBreg誘導が著明に障害されていることを報告した.今回,健常人及びSLE患者において,BregのT細胞機能抑制について評価し,更にBreg誘導メカニズムについて検討を行った.【方法】ヒトB細胞の遺伝子発現はqPCR,蛋白発現はELISA, FACSにて評価した.またBregをT細胞と共培養し,CFSE assayによる増殖能,細胞内染色によるcytokine産生能の変化を評価した.【結果】健常人においてBregはT細胞の増殖及びIFNγ産生をIL-10依存性に著明に抑制した.一方,SLE患者ではBreg誘導能が低下しており,更にT細胞機能抑制能も著明に低下していた.近年,マウスのBreg誘導において形質細胞(PC)分化に必須の転写因子であるPRDM1(Blimp1)の関与が報告されている.我々はヒトBregにおいてもIL-10とBlimp1発現に正の相関を認めた.そこでPrimary B細胞のBlimp1をKDしたところ,IL-10の産生低下が認められ,Breg誘導におけるBlimp1の重要性が確認された.しかし,SLE B細胞においては無刺激の状態ではBlimp1及びIL-10発現が高いが,刺激後はBlimp1増強が弱く,IL-10の誘導も障害されていた.従ってBlimp1発現の増強がBreg誘導に重要であることが示唆された.【結論】自己免疫疾患における制御性B細胞の機能異常の分子メカニズムの解明によって新たな治療戦略の可能性が示唆される.