日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム2-4 慢性気道炎症の発症遷延化機構
中山 俊憲
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2015 年 38 巻 4 号 p. 242

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抄録

  慢性鼻・副鼻腔炎や難治性気管支喘息などの慢性気道炎症疾患は,非アトピー型で成人発症型であることかが多く,ステロイドなど多くの治療法に抵抗性である.動物疾患モデルや患者の炎症組織サンプルの解析から,異なったサイトカインを産生するヘルパーT(Th)細胞(Th1/Th2/Th17等)が記憶Th細胞となり非典型的なサイトカインやケモカインを産生し,慢性炎症の病態形成に関与することが強く示唆されている.しかし,慢性気道炎症巣におけるこの“病原性記憶Th細胞”の集積,再活性化機構,浸潤炎症細胞の経時的変化,機能分子などの慢性化のメカニズムについては,殆ど解明されておらず,慢性炎症制御の治療戦略は確立されていない.我々は,炎症の慢性化と病態の遷延化に大きな役割を果たすと考えられる“病原性記憶Th細胞”の形成,生存,機能維持および再活性化機構を解析してきた.慢性炎症疾患の病態を「病原性免疫記憶Th細胞の形成・浸潤・維持・再活性化」の結果と捉え,病原性免疫記憶Th細胞を制御することで慢性炎症疾患をコントロールするという新たな治療戦略のコンセプトを提示した.
  参考文献:
  Endo et al. Immunity 35: 733, 2011.
  Endo et al. Trends in Immunol. 35: 69, 2014.
  Endo et al. Immunity 42: 294, 2015.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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