日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム3-6 大規模ヒト疾患ゲノム解析による疾患病態解明・新規創薬への展望
岡田 随象
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2015 年 38 巻 4 号 p. 249

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抄録

  ヒトゲノム配列が解読されてから10年以上が経過し,ゲノムワイド関連解析や次世代シークエンサーに象徴されるゲノム解析技術は著しい進歩を遂げている.数千人~数十万人規模のサンプルを対象とした大規模ヒト疾患ゲノム解析が現実のものとなり,炎症性腸疾患や関節リウマチなどの免疫関連疾患においては,100を超える疾患感受性遺伝子が同定される時代となった.得られた疾患感受性遺伝子の情報を多彩な生物学的・医学的データベースと横断的に統合するビッグデータ解析を通じて,新たな疾患病態の解明や,ドラック・リポジショニングに代表される新規創薬に貢献できることも明らかになってきている.HLA imputation法の活用により免疫関連疾患の発症リスクを規定するバイオマーカーの網羅的探索が可能になっている.関節リウマチと統合失調症とで観測される低い合併率など,疾患疫学研究が指摘した疑問点をヒトゲノム解析の面から再解釈するアプローチも始まっている.本セミナーでは,我々が行ってきた研究成果を紹介すると共に,これからのヒトゲノム解析の展望について述べたい.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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