日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター)
P1-17 nailfold videocapillaroscopy(NVC)による病期評価を用いた強皮症の病態評価の検討
久保 智史中山田 真吾中野 和久好川 真以子宮崎 祐介佐藤 友梨恵轟 泰幸平田 信太郎岩田 慈齋藤 和義佐藤 実田中 良哉
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 39 巻 4 号 p. 383a

詳細
抄録

  【目的】強皮症の病態は「自己免疫,炎症,線維化,血管障害」の複合的要因で形成され,症例ごとの病態評価を困難とする.NVCを用いた病期評価を免疫細胞サブセットの網羅的評価と組み合わせ強皮症の病態評価への有用性を検討した.【方法】対象は当科に通院する強皮症患者76名.NVCによる爪郭部毛細血管異常,NIH/FOCISのHuman Immunology Project Consortiumに基づく8カラーFACS解析を評価し,臓器障害との比較を行った.【結果】爪郭部毛細血管を正常,早期,活動期,晩期に分類するとその進行は罹病期間とは関連せず,皮膚硬化の程度および消化管病変,腎障害,血管障害(皮膚潰瘍)の程度と相関していた.また,RNA polymerase III陽性症例ではNVC進行例が多かった.一方で末梢血リンパ球サブセットでは,活性化T細胞およびTh1,switched memory B cellの割合が血管障害(皮膚潰瘍)の程度と相関し,plasmablastの割合が皮膚硬化の程度,腎機能障害,心機能障害,肺高血圧症の程度と相関していた.さらに,毛細血管異常が晩期の症例ではplasmablastの増加が認められた.【結語】NVCによる病期分類は臓器障害を反映した.またNVCの進行は罹病期間とは相関しない一方で,自己抗体やB細胞の分化異常がその進行に関連していた.すなわち,強皮症患者において,病期および臓器障害の出現は一様ではなく,NVCの病期評価に基づいた強皮症患者のサブグループ分けによる治療応用が考えられた.

著者関連情報
© 2016 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top