2016 年 39 巻 4 号 p. 423b
最近明確な臨床効果を示した免疫チェックポイント阻害抗体の不応例には,治療前に腫瘍浸潤T細胞が少ない症例が多い.このような症例は,体内で抗腫瘍T細胞を誘導する別の治療法との併用や,体外培養抗腫瘍T細胞を投与する養子免疫療法が奏効する可能性がある.養子免疫療法の一種であるCAR-T細胞療法は,B細胞性白血病リンパ腫に対しては,CD19を標的として,優れた臨床効果を示したが,固形腫瘍では未だ最適な抗原が不明で,確立されていない.我々は扁平上皮がんで特異的にGPC-1が高発現していることを報告し,GPC1特異的CAR-T療法を開発した.このCAR-T細胞は,GPC-1特異的に標的細胞を傷害し,さらに,CD4陽性CAR-T細胞は,抗原特異的に各種サイトカインを産生した.さらに,GPC1発現マウスがん細胞株移植マウスモデル及びヒト食道扁平上皮がん細胞株移植免疫不全マウスモデルへの投与で,明らかな副作用なく,in vivo抗腫瘍効果を認めた.また,前者では内在性腫瘍抗原gp70に対するT細胞応答の増強を認め,抗原拡大(antigen spreading)が示唆された.以上より,GPC-1特異的CAR-T細胞療法は,扁平上皮がんに対して直接の抗腫瘍作用を持ち,さらに,抗原拡大を介した抗腫瘍作用により有効な治療法となる可能性が示唆された.