小児の高次脳機能障害を考えるにあたり,成人との大きな相違はコミュニケーション能力まで含む教育を受ける学習環境下にあることと,発達過程にあるため正常発育の観点から障害回復程度を判断する必要があることである.リハビリテーション(以下,リハ)においては,神経心理学的・心理社会的・就学(就労)の3つのアウトカム評価をもとに,①障害そのものの改善,②代償手段の活用・環境調整,③復学(就学)支援,④周囲関係者を含めた障害の理解受容や養育者支援を展開していく.米国をはじめとした先進諸外国と比較し,わが国では小児外傷性脳損傷後高次脳機能障害のリハはその緒についたばかりだが,近年就学支援体制構築への方向づけがされつつある.