2016 年 39 巻 5 号 p. 460-467
肝臓内に存在する疾患特異的免疫細胞が様々な病態に関与することが知られており,近年これらの細胞集団の遊走に寄与するケモカイン・ケモカイン受容体が注目されている.マウスConcanavalin A(ConA)惹起T細胞応答性肝障害モデルを用いた検討で,ケモカイン・ケモカイン受容体の一つであるCCR9/CCL25を介してCD11b+ F4/80+マクロファージが肝臓内に遊走し炎症性サイトカインであるTNF-αの産生,Th1細胞の誘導により病態の形成に重要な役割を果たすことが明らかになった.また急性肝炎患者の末梢血中にTNF-α産生能を有するCCR9+ CD14+CD16+単球が著明に増加しており,肝炎急性期の免疫応答に深く関与することが示唆された.肝臓遮蔽骨髄移植モデルを用いた検討により,CCR9陽性マクロファージは骨髄単球に由来することが明らかになった.さらにマウス肝線維化・肝硬変モデルを用いた検討においてもCD11b+マクロファージと星細胞の両細胞がCCR9/CCL25を介して病態の進展に関与することが明らかになり,今後CCR9/CCL25 axisが様々な肝疾患に対する治療標的となる可能性が示唆された.