2017 年 40 巻 4 号 p. 280a
Genome wide association study(GWAS)により自己免疫疾患の発症リスクに関与する一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism,SNP)が数多く同定された.GWASで評価しているのは単なる“関連”ではなく,“因果関係”であるため,GWASで同定されたリスクSNP(もしくは連鎖関係にある多型)の免疫システム内における機能を解明することが自己免疫疾患の病因解明に重要である.近年,細胞種特異的なepigenome解析結果を応用し,関節リウマチ,Graves病,I型糖尿病などの自己免疫疾患のリスクSNPの機能解析が行われた.その結果,CD4陽性T細胞において何らかの遺伝子の発現制御に異常を来すことが自己免疫疾患の発症リスクになることが示された.この現象を詳細に解析するため,我々はヒトT細胞を用いたexpression quantitative trait loci(eQTL)解析を実施した.eQTL解析は各SNPがどの遺伝子の発現をどのように調整しているかを網羅的に評価する解析手法である.本研究により,自己免疫疾患の原因遺伝子,原因パスウェイに関する新規知見を得ることができた.本発表では,ヒトT細胞のゲノム機能解析の応用により自己免疫疾患の病因の理解がどのように進展したかを解説する.