関節リウマチの治療薬としてJAK阻害剤であるTofacitinibが登場して4年が経過した.Tofacitinibは低分子化合物であり,細胞内でキナーゼ活性を阻害する薬剤である.生物学的製剤とは作用機序や製剤の特徴においていくつかの違いがある.本講演では,基礎的および臨床的観点からJAK阻害剤についての最近の知見を述べる.まず,分子レベルでJAK阻害剤の作用点と作用機序をまとめる.JAKとはある1群のサイトカイン受容体に結合し下流の分子Statをリン酸化する酵素である.JAK阻害剤は,例えば,IL-6 ⇒ IL-6受容体 ⇒ JAK ⇒ Stat ⇒ 転写,といった流れをJAKの部位で阻害する.様々なサイトカインの下流シグナルを阻害するために,マルチターゲット呼ばれている.次に,細胞や生体レベルでTofacitinibの作用機序と抗リウマチ作用について考察する.さらに,Tofacitinib以外のJAK阻害剤や,関節リウマチ以外の病態への作用についても考察する.次に,臨床データからTofacitinibの特徴を述べる.Tofacitinibの臨床試験の結果は,生物学的製剤と同等の効果を持ち,MTX-IR,TNF不応例,初期治療例などで有効であることが示されている.副作用については,本邦や韓国で帯状疱疹の発症頻度が高いことが知られている.低分子化合物であるため,肝機能,腎機能などを考慮する必要があるが,経口投与が可能となった点は大きなメリットである.これらの点について今後の展望を交えながら考察する.