2017 年 40 巻 4 号 p. 295b
【目的】原発性胆汁性胆管炎(PBC)患者の約20%は,治療抵抗性で黄疸,肝不全に進行する予後不良群(黄疸型進行群)である.PBC黄疸型進行の機序を明らかにするために,関連遺伝子の同定と発現・機能解析を行なった.【方法】PBC黄疸型進行群173症例,非進行群1202症例を対象として,ゲノムワイド関連解析(GWAS)はAxiom Genome-Wide ASI 1 Arrayを用いて,validation studyはTaqMan法,DigiTag2法を用いて行った.肝組織と血中の関連遺伝子発現は,免疫組織化学染色とELISAにより解析した.黄疸型進行関連遺伝子の機能は,肝ガン細胞株に遺伝子を過剰発現させて解析した.【結果】GWASでP < 5x10−5を示した12個の遺伝子多型の中から,validation studyにより最も強い黄疸型進行関連遺伝子領域として染色体20番のNELFCD-CTSZを同定した(P = 1.36x10−7).肝組織では,PBC進行に伴い肝細胞においてCTSZは発現増加していたが,NELFCDは発現増加していなかった.CTSZは,正常肝では毛細胆管側にリソソームマーカーLAMP1と共局在していたが,黄疸型進行群の肝細胞ではLAMP1から逸脱し細胞質に局在した.黄疸型進行患者の血中CTSZは有意に増加し,その値は血中ビリルビン,アルブミン,AST,血小板数と有意に相関した.HuH7にCTSZを過剰発現させると,アミノ酸飢餓,クロロキン誘導性の細胞死が促進された.【結論】PBC黄疸型進行に,CTSZの発現増加と局在変化による肝細胞死の誘導が関与している可能性が示唆された.