日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター) 1 一般臨床免疫
P1-37 Tacrolimusで初めて治療し得た心筋障害合併例を含むTAFRO症候群の2症例
白井 太一朗脇 大輔千藤 荘明石 健吾大西 輝三枝 淳森信 暁雄
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2017 年 40 巻 4 号 p. 307a

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抄録

【背景】TAFRO症候群はmulticentric Castleman's disease(MCD)の亜型とされ,血小板減少症,腔水症,骨髄線維症等を特徴とした稀な炎症性疾患である.MCD同様Interleukin(IL)-6がkey cytokineとされたが,血小板減少等はIL-6作用と矛盾し,Tocilizumab(TCZ)の奏効率はMCDに比して低い.既報でCyclosporineの有用性が示唆され,我々は心筋障害合併例を含む2症例に初めてTacrolimus(TAC)で治療を行った.【症例1】68歳女性.発熱,血小板減少,胸腹水,骨髄線維症とリンパ節生検でTAFRO症候群と診断した.Glucocorticoids(GC)単剤では症状改善乏しく,TCZを開始したが効果なく,膿胸に伴う敗血症を来した.TACへ変更したところ速やかに寛解に至った.【症例2】17歳男性.発熱,血小板減少,胸腹水の精査中,急性に瀰漫性心筋障害を伴う重症心不全を来した.TAFRO症候群に伴う心筋障害と診断し,GCとTACで治療開始したところ心筋障害は速やかに可逆的に改善し寛解に至った.【考察】Literature reviewから,TAFRO症候群でのTCZの奏効率は50%以下で,GCとTCZの併用療法は感染症合併率が高かった.TAFRO症候群とIL-2,IFN-γ induced protein 10(IP-10)等のTh1 cytokinesの関係が示唆され,心筋障害への関与も想定されることから,Th1 cytokinesを抑制するTACは有望な治療薬と考えられる.本症例はTACが心筋障害合併例を含むTAFRO症候群に有効かつ安全に使用できることを示す初めての報告である.

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